資産運用を30歳からはじめて4年、区分マンション投資を開始することにしました。
そこに至る経緯について記事にしています。今回は3回目、実際に投資を行うと決心した経緯について書いていきます。
前回は様々な不動産投資の種類、それぞれのメリット・デメリットについて勉強したところまで書きました。
つまるところ不動産投資というのも他の投資と同様で、利益が出なければやる意味がないというのが重要で、年金対策や保険の代わり、節税なんていうものは付加価値、おまけに過ぎないということです。
月々のキャッシュフロー(賃料収入から管理費や修繕積立金、ローン返済などを差し引いたもの)がマイナスになる時点で資産運用の手段としてありえないってことですね。
そんな中、不動産投資ならではの魅力もわかってきました。
それは3点あって、
・他人のお金を使って資産拡大ができる
・複利効果で資産規模が経時的に増大していく
・心理的にレバレッジをかけやすい
ということです。
他人のお金を使って資産拡大できる
ローンというのは銀行のお金ですし、その返済を手伝ってくれるのは入居者という赤の他人です。そして住人側は全然返済を手伝っているという意識はなく賃料を支払ってくれているわけです。融資でお金を稼ぐ、これは立派な事業ですね。
株式や投資信託というものは業績や景気で株の価値が上がることにより儲けたり、あるいは配当で利益を得ますが、将来的な景気や株価というものを見通すことは不可能です。インデックス投資はかなり勝つ確率の高い投資方法とは思いますが、リーマンショック級の経済ショックが起こる可能性はいつでもありますし、今後株価が長い低迷期に入る可能性だってないわけじゃありません。今後の株価を見通すことは不可能です。
対して不動産投資は入居者という第三者の個人から金額を収集するという意味で、うまく利用すれば(空室にならなければ)、他人のお金で資産規模を増やすことができます。そして資産価値というのは長期的には下落するとしても数日、数年程度で大きく変わることもなく、ゼロやマイナスになることはない。よって将来プランを比較的たてやすい。この安定性が非常に魅力的に感じました。
複利効果で資産規模が経時的に増大していく
複利効果は不動産だけでなく株式でも使いますが、要は投資で得た利益を更に投資にまわすことによって、長期的な運用成績が増大していくというものです。
不動産の場合はしっかり入居が見込める物件を持っていれば安定したインカムゲイン(月々の収入)が入りますから、これを利用してある程度収入予測をたてつつ、その収入分を再投資(ローンの返済)にまわしていくとローン返済分が減ってさらにインカムゲインが増え、さらにローン返済スピードがあがり、という相乗効果を生み出すことが可能になります。
すなわちしっかり収益のでる物件を複数もっていれば、指数関数的に資産形成スピードが早まっていくことになります。
レバレッジがかけやすい
レバレッジというのはテコの原理のことで、借入を行って自分で運用できる資産規模以上の規模で資産を運用をすることです。
株式やFXの取引で3~4倍のレバレッジをかければ、投資で得た30万円の利益は100万円にもあがります。ただ反面、30万円の損は100万円になります。そのため損をした場合は自己資金で賄うことができず破産するリスクすらあります。いわゆるハイリスクハイリターンの投資方法です。
不動産投資も銀行から融資をもらって行う場合は他人資本での資産運用になりますから、このレバレッジをかけています。自己資金100万円でも銀行から融資がおりれば2000万円の区分マンションの運営ができるということですね。
レバレッジは自分はこれまで株式や投資信託でも一切行いませんでしたし、行う気もありませんでした。それは投資初心者であり、リスクをとりたくなかったからです。4年ほど株式投資を行った今でも、個別の株価が上がるか下がるかなんて全く見通せません。
対して不動産というのは比較的収支が読みやすく、資産価値が落ちにくいです。だからこそ銀行からも融資がつきます。特に都心好立地物件などは資産価値が高いので利回りは低いのですが、反面資産価値下落や空室リスクは低く、資産規模を拡大するレバレッジと相性が良いと思いました。
なんせ資産価値が持続するので、空室で家賃収入がはいってこなかったとしても月々に35年の長期のローン返済(2000万円であれば月6万ほど)をする程度の損失で済み、払いきれば自分のものにはなります。規模を間違えなければいきなり破産、ということにはなりえません。
そして改めて、なぜ自分は資産運用をするのか、投資をするのか。
これは投資全般に共通して、始める際に投資家はしっかりイメージを持つべきものですよね。
自分の場合は結構明確な目標があって
早いうちに1億の資産を築きたい
というものです。貯金だけでもいずれは到達できる自信はありますし、定年がないような職業でもあるので、別に老後が不安とは全く思いません。
ただできるだけ活動できる若い段階(40代半ばあたり)までに純資産1億を達成したいのです。
1億ためて何がしたいのか、とか何かが欲しい、とかそういうことはないのですが、1億というのは経済的自由を感じられるキリの良い数字と考えています。
医師という仕事は激務ですがやり甲斐があり、辞めたいと思ったことは一度もないです。最近流行りのFIREをしたいとかそんなことも全くないのですが、経済的に自由であれば精神的にも余裕ができるんじゃないかな、人生がさらに豊かになるんじゃないかなと考えているのです。
また病気などで人生何があるかわからないのも事実ですし、今後の年を重ねるにつれ仕事に対する考え方が変わる可能性もあります。
株式や投資信託だけでもうまく運用できれば達成できるのかもしれません。ただ投資を初めて4年間、iDeco、NISA、Wealth Naviで1000万円ほどを運用してきて、400万ほど資産は増えましたが、運用していて株価の動きは全く予想できませんでした。今のコロナ渦でダウ、日経平均株価がここまで上がってきているのも正直イマイチ理解できていません笑
不動産は株式よりリスクが低く確実性が高い印象があり、本業に集中しつつ資産1億を早いうちに築くのであれば不動産の形が最も良いと考えたわけです。しかも不動産で1億の純資産をもっていれば、そこから賃料収入も入ってくるわけですから、資産に加えてそれだけで生活できる金の出る小槌を手に入れることになります。
さてでは不動産投資のどのタイプで勝負するのか。
寝る前には不動産関連の本を読み漁り、食事中には不動産関連のYouTubeを見まくり、また暇なときに不動産投資関連のブログを色々と拝見しました。
区分マンションの他、戸建てのリノベーションや木造の一棟アパート、RC一棟マンションも検討し、アットホームや健美家、楽待にある物件でシミュレーションを試してみました。
しかし結果的に区分マンション投資をすることに決めます。
その理由としては、
不動産投資で成功するには「どれだけその不動産に時間、労力を注げるか」という点が実質利回りと同程度に重要である
ということに気づいたからです。
一棟アパート関連の本も読みましたが、アパートを経営して大家さんになるということは、それなりの手間がかかります。高い買い物になるので物件を購入する際にはしっかり下見をして購入を検討しないといけませんし、安く手に入れられるか、入居者付けをするにはどうすればよいか、資産価値をあげるにはどうしたらよいか。また入居者のトラブルについてもある程度積極的に関わっていかないと、高利回りで経営していくことはなかなか難しいと感じました。
しかし自分の職業は医者です。平日は朝から夜遅くまで病院で働き、土日もいつ呼ばれるかわからない環境で働いています。日々医学の勉強をしないと取り残され、また論文執筆や臨床研究など様々なDutyがあります。患者さんから感謝はされやりがいはあり高収入ですが、圧倒的に時間がない。
成功したサラリーマン大家さんなどと嘯くYoutuberたちを見てきましたが、彼らはもはやどっちが本業かわからないレベルで不動産に時間を費やしている気がします(+動画撮影笑)。仕事は9時17時で土日完全フリーなどのレベルなら対応できるでしょうが、少なくとも自分にこれは無理だな~と。
中には医業をやりながら不動産にもセンスを発揮し経営できる方もいるようですが、そのようなスーパースターにはとてもなれる気がしません。
戸建て賃貸については入居者さんが管理をある程度自分でしてくれますので、放ったらかしには相性は良い投資スタイルです。ただやはり土地勘がある場所、家の近くで下見できる環境じゃないと購入しづらいですし、ポータルサイトに転がっている物件なども基本は築古で、実質利回り、資産価値を上げるためのリノベーションまで考えるとやはり時間が足りない。そして築古の割安物件に銀行がいきなり低金利で融資を出してくれるのかというと難しいようで、金利を考えると現金一括の購入が望ましいとなると、自分が最初に手を出す案件ではない気がムンムンです。
それに対して区分マンション投資(好立地)の優れている点は
・放ったらかしとの相性が良い
・好立地の物件は資産価値が高いので低金利で融資がおりやすい
・物件を見に行かなくても購入検討ができる
・流通量が多いので資産価値の高い物件(利回りは低くても)を購入できる可能性が高い
・1件の価格帯が好立地でも比較的手が出やすい(1500万~2500万)
ということです。
中でも契約までしてしまえば後は比較的ほったらかしでも経営が回る、時間をあまり割かなくて良い、という点が最大の魅力だと感じました。
よって、時間が足りない自分には区分マンションが最も相性がよく、ここを投資のメインに据えることとしたわけです。
つづいて理解を深めるために「区分マンションを絶対に勧めません」系のYoutubeの動画を見まくることとしました。この手の動画ものすごく多いんですよね(^_^;)
多くの動画で語られる区分マンション投資のデメリットは
・利回りが低すぎて資産拡大のペースが遅い
・現在都心マンションは価格が高すぎる
・月々のキャッシュフローがほぼなく、固定資産税や修繕費用で結局持ち出しが増える
・海千山千の世界で、不動産会社が利益をのせて高値づかみさせられる、騙されるリスクあり
・新築は当然、築浅も資産価値は年々落ちていくので更にマイナス
・築古は長期保有でデッドクロスを引き起こす
あたりでしょうか。
どれも正論で、区分ワンルームマンション投資が資産拡大の手段としてはあまり適した方法ではないことは理解しました。
区分マンションを勧めている本の著者の方々も、不動産投資の開始時期はだいたいゼロ年代か2010年あたりの方が多く、比較的安めに不動産を購入しておられ、今なんかよりよっぽど利回りがよいですしキャピタルゲインで稼いだ方も多いようです。
そして東京オリンピック開催は不透明ですが(2021年5月末現在)、東京の好立地部のマンションは価格が上がっており、現在が購入するタイミングではないという意見もあります。また最近融資が厳しくなってきているという問題もあります。
ただ!
ただです!
区分マンション投資を否定している動画がたくさんありますが、そもそも投資家の属性、貯金額、年齢など、そういった背景を加味している動画はひとつもありません。
だいたいの区分マンションを否定するキャッシュフローの解説動画なども、頭金10万円で2000万円くらいのマンションをフルローンで引いた際のシミュレーション(不動産会社がよく提示してくるやつ)になっています。
その場合、結局年単位の収支がマイナスになるんですよね。
正直上記のデメリットから、年収500万、貯金100万円程度の方が2021年の現在、フルローンで区分マンション投資をして資産拡大していけるかというと、限りなく難しいと思います。開始時は数千円のプラスでも固定資産税などで打ち消され、年々賃料が低下し修繕積立金が増え、月々の持ち出しがマイナスになっていき精神的につらくなり保有するのをやめようと考えて、でも物件を売却したくても残債が足りずにさらに数百万年持ち出しが発生する、みたいな典型的な失敗例になる可能性が高いです。唯一勝機があるとすれば今後資産価値が上がるエリアの区分マンションを安く手に入れて高く売る、キャピタルゲイン狙いですが、かなり難しそうです。
ただ自分は総資産は現在3000万円ほどあり、高収入の独身です。多額の融資をひける高属性でローン返済にも余力があります。
十分な資産規模と収入があれば、区分マンション投資でもキャッシュフローを得つつ、十分資産拡充できる見込みはあると考えました。
すなわち区分マンション購入時にある程度頭金をいれて、月々のローン返済額を減らしてあげるんですね。そうして確実なプラスのキャッシュフローを得た上で、家賃収入と給与収入をどんどん繰り上げ返済にあてて早めにローン完済を目指していき、複利効果を十分に発揮させる、という道筋(力技)です。
区分マンション投資が損をする大体の理由はローン返済のせいで、極論、資産価値が高く空室率の低い区分マンションを現金一括買いで運用すれば、長期的には損などしようがありません。
月々の収支がマイナスになるのは、最初から頭金入れずにフルローンをひいてこようとするからですよね。この低金利時代においてもプラマイゼロか良くてプラス数千円ですし、金利が今後上昇すれば一気に追い込まれるのでリスクが高すぎます。
「自己資金なしで銀行からの融資と他人資本だけで月々お金が入るよ、そして以後もアナタはお金を一切ださなくても収入が入るし、ローンを払えばいずれその不動産が手に入るよ」
なんてそんな美味しい話があるわけがありません。それならふるさと納税よろしく世の中の人間は全員不動産投資してるっていう話です。お金を稼ごうとするなら時間と労力をかけるかリスク込みでお金をかけるかあるいは運か、何らかのファクターが必要になるのは当たり前のことです。
自分の好きなチャンネル、ウラケン不動産さんの動画で、浦田さんが「融資を受ける場合は自己資金比率はリスクを取れる人の場合は20%、リスクが取れないひとは50%、一棟アパートは最初は現金買いが望ましい」とおっしゃっておられ、これも非常に納得しました。
そしてマンション価格が上昇している問題。これは株価が上昇し続けているときに買う気にならない気持ちに似ています(Amazonとかね)。
まぁ株価の場合はある程度下がって底値になったあたりで買おうかという判断もできますが、不動産投資は開始したときから賃料という収入が発生する以上、投資を行うことを前提にしたら、始めないことによる時間的なロスというものが発生します。また「今の値段が過去より高い」ことと「いま買ったら損をする」ということは決してイコールではないですよね。
不動産投資の福利効果による資産拡大や、融資によるレバレッジを考えると、早期に複数の区分マンションを同時に運用するほうが時間を味方につけられるので早めに資産拡大が目指せることになります。
よって自分のプランニングとしては、開始時に2000万円程度を用いて、自己資金20%の比率を目標に、好立地の築10~15年あたりの区分マンションを複数契約し(4~5戸、total 1億)、あとはキャッシュフローと給与収入からの繰り上げ返済で10年を目標に繰り上げ返済、完済を目指していく、という形で行うことに決めたのでした。
だいたい好立地の築浅区分マンションは実質利回り4%程度ですので、ガバガバの計算ですが、年間400万円程度の給与収入を繰り上げ返済に当てれば10年でも十分達成可能かな、と。繰り上げ返済というよりは貯金で預ける分を繰り上げ返済という形で貯蓄しておく、というイメージでしょうか。資産価値が高い不動産であれば繰り上げ返済はほぼ貯金みたいなもんです(錯乱)。
それだけの金額と収入があったらもっと良い不動産投資の方法があるよ、という声が聞こえてきそうですが、時間的な余裕がない自分にはこれが一番というのが現時点の結論です。
前回までの記事でも書きました、区分マンション投資について怪しい業者から説明を受けたときの疑問
結局多額の借金を返済して35年後にマンションを手に入れたとして、そんな古い建物に資産価値なんてあんの?そして老後に月数万円のプラスって、そんなに老後の生活の足しになんの?
に対する、勉強した後の自分なりの回答としては
区分マンション投資とは、銀行からの融資と賃料という他人資本で金額的、時間的なレバレッジをかけ、資産拡大を目指す手段の一つである。35年後にマンションを手に入れることを目指すものではなく、老後の年金目当てに行うものではない。資産拡大には融資を引いて複数のマンションを自己資金を入れて運用し、繰り上げ返済も行うことで複利効果を最大限利用する必要がある。つまり区分マンション投資とは十分な資産と収入をもった人が時間的労力を割かずに長期的に資産拡大を目指す手段である。
というところでしょうか。
さて区分マンションを主軸に不動産投資を行うと決意し、あとはいかにして良い物件を買うべきか、管理会社はどうするべきか、という問題です。電話で飛び込み営業してくる怪しげな業者ではなく、自分から不動産業者を調べて連絡をとることにしたのでした。
実際の契約については次の記事で。